実家の処分を考える

相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除の条件と期限

確認日 2026-10-03

相続した親の家(空き家)やその敷地を売ったとき、一定の要件に当てはまると、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できます。対象は平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの売却で、かつ相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが必要です(国税庁 タックスアンサー No.3306)。

この記事では、国税庁と国土交通省が公開している情報をもとに、条件・期限・売り方ごとの違い・必要書類を整理します(確認日:2026年10月3日。国税庁のページは令和8年4月1日現在の法令等にもとづく記載です)。

3,000万円特別控除とは?控除額と適用期限

正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます(国税庁 タックスアンサー No.3306)。

項目内容
控除額譲渡所得の金額から最高3,000万円
控除額が変わる場合令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上の場合は2,000万円まで
制度の適用期間平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間の売却
相続からの期限相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
手続き一定の書類を添えて、所轄税務署に確定申告をする

(国税庁 タックスアンサー No.3306)

期限の数え方の例(仮定の日付)

期限は「制度の適用期間」と「相続からの期限」の両方を満たす必要があります。次は仮定の日付による例です。

この例では、どちらの期限も2027年12月31日です。相続の開始がこれより遅い場合は、制度の適用期間の終わり(令和9年12月31日)のほうが先に来ることがあります。日付の数え方を含め、自分の場合の期限は税務署に確認してください。

適用条件の一覧:家屋・相続・売却の3つに分けて確認

国税庁のタックスアンサー No.3306 に書かれている要件を、確認しやすいように3つに分けて並べます。すべての要件を網羅した正確な記載は、国税庁のページを確認してください。

1. 家屋についての条件

条件内容
建築時期昭和56年5月31日以前に建築されたこと
建物の種類区分所有建物登記がされている建物でないこと
居住の状況相続の開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
老人ホーム等に入所していた場合要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していたなど、一定の要件を満たすときは対象になる(詳細は国税庁 タックスアンサー No.3307)

(国税庁 タックスアンサー No.3306)

老人ホーム等に入所していた場合について、国土交通省は、被相続人が家屋を一時滞在で使用していたほか、家財道具等の保管場所として使用していた場合も「一定使用」に該当すると説明しています。一方、親族の家や一般の賃貸住宅に転居して亡くなった場合は、この特例を受けることはできません(国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置)。

2. 売る人と相続後の使い方についての条件

条件内容
売る人相続または遺贈により、被相続人居住用家屋およびその敷地等を取得した相続人であること
相続後の使い方相続の時から譲渡の時まで、事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。解体してから売る場合は、家屋は相続の時から取壊し等の時まで、敷地等は相続の時から譲渡の時までが対象

(国税庁 タックスアンサー No.3306)

3. 売却についての条件

条件内容
売却代金1億円以下であること。分割して売った部分や、他の相続人が売った部分も含めて判定される
売る相手親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと。生計を一にする親族、特殊な関係のある法人なども含まれる
他の特例との関係相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や、収用等の場合の特別控除など、他の特例の適用を受けていないこと
同じ被相続人からの相続同一の被相続人から相続または遺贈により取得した家屋・敷地等について、すでにこの特例の適用を受けていないこと

(国税庁 タックスアンサー No.3306)

売却代金については、特例の適用を受けた後でも、売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、残りの部分を自分や他の相続人が売って合計額が1億円を超えたときには、その売却の日から4か月以内に修正申告書の提出と納税が必要になります(国税庁 タックスアンサー No.3306)。

解体して売る場合と建物つきで売る場合で何が違う?

売り方は大きく3つあり、それぞれ満たすべき条件が違います。

売り方主な条件
A. 建物つきで売る(売る時点で耐震基準を満たす)譲渡の時において、家屋が一定の耐震基準を満たすこと
B. 解体してから土地を売る家屋の全部の取壊し等をした後に敷地等を売ること。取壊し等の時から譲渡の時まで、建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと
C. 建物つきで売り、売った後に耐震改修または解体をする譲渡の時から、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこととなったこと、または家屋の全部の取壊し等を行ったこと。令和6年1月1日以後の譲渡に限る

(国税庁 タックスアンサー No.3306)

Cは令和5年度税制改正で加わった扱いです。国土交通省のQ&Aから、注意点を2つ挙げます(国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置)。

また、譲渡後に耐震改修工事をせずに耐震基準適合証明書が発行できた場合は、Cの要件を満たさないとされています。Cでは、期間中に耐震改修工事を実施することが必須です(国土交通省 同ページ)。

解体してから売るか、建物つきで売るかは、解体費用や売却の見込みにも関わります。解体費用の補助制度がある市区町村もあるので、自治体の補助金や解体のページもあわせて確認してください。

必要な確認書と書類は?どこでもらう?

この特例は、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要です(国税庁 タックスアンサー No.3306)。売り方によって書類が変わります。

書類A. 建物つきで売るB. 解体して売るC. 売った後に改修・解体
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]必要必要必要
売った資産の登記事項証明書等必要必要必要
被相続人居住用家屋等確認書(市区町村長が交付)必要必要必要
売買契約書の写しなど(売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの)必要必要必要
耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し必要-耐震改修の場合に必要
取壊し等をした旨を証する書類(登記事項証明書など)--解体の場合に必要

(国税庁 タックスアンサー No.3306 の「提出書類等」を整理)

確認書の申請に必要な書類や交付までにかかる日数は、空き家のある市区町村に確認してください。

自分が使えるかどうかは、どこに確認すればよい?

この記事は制度の一般的な説明です。自分の売却がこの特例の対象になるかどうかは、次の窓口で確認してください。

実家の処分方法を広く比べたい場合は、実家の処分のページも参考にしてください。

出典