実家の処分を考える

相続土地国庫帰属制度とは?引き取れない土地の条件と費用

確認日 2026-10-03

相続土地国庫帰属制度は、相続などで取得した土地を、一定の要件を満たした場合に国に引き取ってもらえる制度です。建物がある土地は申請できないため、実家の土地で使う場合は、原則として建物を取り壊してから申請することになります。費用は、審査手数料が土地一筆あたり14,000円、承認後の負担金が20万円を基本とします(法務省 相続土地国庫帰属制度の概要、同 Q&A)。

この記事では、法務省が公開している情報をもとに、引き取ってもらえない土地の条件、費用、手続きの流れを整理します(確認日:2026年10月3日)。

相続土地国庫帰属制度とは?誰が使える?

相続または遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることができる制度です。令和5年4月27日に始まりました(法務省 相続土地国庫帰属制度について)。

項目内容
申請できる人相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得した人
申請できない人売買など相続等以外の原因で自ら土地を取得した人や、法人は、基本的に利用できない
共有の土地共有者の全員が共同して申請することで利用できる
制度開始前に相続した土地対象になる。数十年前に相続した土地も対象
申請先土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門。支局・出張所では受け付けていない。北海道は管轄が4つの法務局・地方法務局に分かれている

(法務省 相続土地国庫帰属制度の概要、同 Q&A)

引き取ってもらえないのはどんな土地?

引き取れない土地は、法律で2段階に分けて定められています。申請そのものができない土地(却下要件)と、審査の結果、承認されない土地(不承認要件)です(法務省 引き取ることができない土地の要件)。

1. 申請の段階で却下となる土地

要件補足
A建物がある土地建物の登記がされていなくても、現に建物が存在する場合は申請できない
B担保権や使用収益権が設定されている土地抵当権、地上権、地役権、賃借権など
C他人の利用が予定されている土地現に道路として利用されている土地、墓地内の土地、境内地、水道用地・用悪水路・ため池として利用されている土地
D特定有害物質により土壌汚染されている土地法務省令で定める基準を超える汚染がある土地
E境界が明らかでない土地、所有権の存否や帰属・範囲について争いがある土地測量や境界確認書の提出までは求められていない

(法務省 引き取ることができない土地の要件、同 Q&A)

2. 審査の段階で不承認となる土地

要件補足
A一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地崖の基準は勾配30度以上かつ高さ5メートル以上
B土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地例:放置車両、建物には該当しない廃屋、定期的な伐採が必要な樹木や竹
C土地の管理・処分のために除去しなければいけない有体物が地下にある土地例:屋根瓦などの建築資材(ガラ)、既存建物の基礎部分やコンクリート片、古い水道管、浄化槽、井戸
D隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地例:公道に通じない土地(袋地)で通行が現に妨げられている土地、不法占拠者がいる土地
Eその他、通常の管理・処分に過分な費用・労力がかかる土地例:土砂崩壊の危険があり保護工事が必要な土地、動物による被害が生じる土地、国による整備が必要な森林

(法務省 引き取ることができない土地の要件)

Bの地上の有体物は、あれば必ず不承認になるわけではありません。宅地で安全性に問題のない土留めや柵がある場合など、土地の形状・性質によっては、通常の管理または処分を阻害しないとされることがあります(法務省 引き取ることができない土地の要件)。

実家の土地で使う場合、建物の解体は必要?

必要です。法務省のQ&Aは、次のように説明しています(法務省 Q&A)。

解体するときは、地下に残るものにも注意が必要です。既存建物の基礎部分やコンクリート片、浄化槽、井戸などは、不承認要件C(除去しなければいけない地下の有体物)の具体例に挙げられています(法務省 引き取ることができない土地の要件)。

法務省のQ&Aは、国庫帰属以外に土地を手放す方法として、相続放棄、地方公共団体等への寄附、民間売買・贈与などを挙げています(法務省 Q&A)。この制度は建物を取り壊してからの申請が原則になるため、建物つきで売る、解体して売るといった方法と比べて検討してください。解体については解体、解体費用の補助制度は自治体の補助金、売却や活用は利活用のページにまとめています。

費用はいくらかかる?審査手数料と負担金

費用金額支払う時期注意点
審査手数料土地一筆あたり14,000円申請時(申請書に収入印紙を貼る)申請を取り下げた場合や、却下・不承認となった場合でも返還されない
負担金20万円が基本承認後。負担金の通知が到達した日の翌日から30日以内市街化区域等の宅地・農地、森林は、面積に応じて20万円以上になる場合がある

(法務省 相続土地国庫帰属制度の概要、負担金、Q&A)

負担金は、国有地の種目ごとに、管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して算定されます。納付が必要なのは承認を受けたときの一度だけです(法務省 負担金)。

面積に応じた算定になる土地の区分と算定式は、法務省の負担金のページに表で示されており、自動計算シート(Excelファイル)も公開されています(法務省 負担金)。この記事では個別の算定額は扱いません。実家の宅地が市街化区域などにある場合は、法務省のページか法務局で金額を確認してください。

費用の計算例(仮定)

次は仮定の例です。解体費用や、測量などを任意で行う場合の費用は含みません。

隣接する2筆以上の土地が同じ種目である場合は、申出をすることで、一つの土地とみなして負担金を算定できる特例があります(法務省 負担金)。

申請から国に引き取られるまでの手続きの流れは?

順番内容ポイント
1法務局に相談する全国の法務局・地方法務局で相談を受け付けている。土地が所在する都道府県の本局への相談が勧められている
2申請書と添付書類を用意する土地の位置・範囲を示す図面、隣地との境界点の写真、土地の形状の写真、印鑑証明書など
3申請する土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)へ、窓口または郵送で提出。審査手数料を納付
4審査(書面調査・実地調査)標準処理期間は8か月。事案によっては超える場合もある。法務局から隣地の所有者へ、境界争いの有無等の確認の連絡がある
5承認の通知と納入告知書が届く承認した旨と負担金の額が通知される
6負担金を納付する通知が到達した日の翌日から30日以内。期限内に納付しないと承認が失効する
7国庫に帰属する負担金が納付された時点で、土地の所有権が国に移転する

(法務省 相続土地国庫帰属制度の概要、引き取ることができない土地の要件、負担金、Q&A)

知っておきたい点が2つあります(法務省 Q&A)。

自分の土地が対象になるかは、どこに確認すればよい?

この記事は制度の一般的な説明です。自分の土地が引き取りの対象になるかどうかは、書面と実地調査を経て法務局が判断します。事前に次の窓口で確認してください。

実家の処分方法全体については、実家の処分のページも参考にしてください。

出典