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空き家バンクとは?登録の流れ・費用と不動産会社との使い分け

確認日 2026-10-04

空き家バンクは、売りたい・貸したい空き家の情報を自治体が登録し、ホームページなどで公開する仕組みです。この記事で確認した飯能市と坂戸市では、市は交渉や契約に関与しません。国土交通省のQ&Aによると、不動産会社(宅地建物取引業者)との媒介契約を登録の条件にしている自治体もあり、その場合は仲介手数料がかかります。「不動産会社に頼むか、空き家バンクか」の二択ではなく、不動産会社への依頼に自治体の情報発信と補助制度を足せるかどうか、という見方で判断すると整理しやすくなります。

以下は公式ページを確認した内容です。飯能市の箇所は 2026年10月4日、それ以外は 2026年10月3日に確認しました。

空き家バンクとは何ですか

空き家の売却・賃貸を希望する所有者から申込みを受けた物件を、自治体がホームページ等で公開し、空き家の利用を希望する人に情報を提供する仕組みです(飯能市「空き家バンクについて」)。飯能市の場合、物件の募集や情報提供は市が行い、物件の査定や仲介は、市と協定を結んだ宅地建物取引業の団体の協力会員(宅地建物取引業者)が行います(同)。飯能市の物件一覧には、2026年10月4日の確認時点で売却物件4件が掲載されていました(賃貸物件は「現在、登録物件はありません」)。成約実績は令和7年6月24日現在で64件(売却物件56件、賃貸物件8件)とされています(飯能市「空き家物件一覧」)。

押さえておきたい点は3つあります。

登録から成約までの流れはどうなりますか

流れは自治体ごとに違います。埼玉県の2市の公式ページに書かれている手順を並べると、次のとおりです。

順番飯能市坂戸市
1申込書類を建築課に提出申請書類を住宅政策課に提出(郵送可)
2市が示す協力会員一覧から、所有者が宅地建物取引業者を選ぶ市が協定団体に媒介業者の選定を依頼
3所有者立ち会いで、市職員と選んだ業者が現地調査し、登録の可否を決定申請者立ち会いで、市職員と媒介業者が現地調査
4市が登録決定通知を送付し、市ホームページ等で情報提供を開始媒介業者と媒介契約を結ぶ
5登録した時点で、現地確認をした業者と媒介契約を結ぶ市が登録決定通知書を交付
6利用希望があれば、市が所有者と業者に連絡し、利用希望者の現地見学市のホームページ等で情報提供を開始
7交渉の申込みがあれば、業者の仲介で交渉希望者が現れたら媒介業者から連絡

(飯能市「空き家を売りたい方・貸したい方(所有者)」、飯能市空き家バンク よくいただく質問 A-13・A-42、坂戸市「空き家をお持ちの方、必見!空き家バンクへの登録」)

どちらの市も、市が協定を結んだ宅地建物取引業の団体に所属する業者が媒介を行います。違いは業者の決め方です。坂戸市は、空き家バンクの売買・貸借の媒介業務はすべて協定団体に所属する業者に依頼することになるとしており(坂戸市「坂戸市空き家バンク事業」)、業者の選定は市が協定団体に依頼します(坂戸市「空き家をお持ちの方、必見!空き家バンクへの登録」)。飯能市では、所有者が協力宅建業者名簿の中から、現地確認を行う業者を自分で選びます(飯能市空き家バンク よくいただく質問 A-13)。また飯能市の要綱は、登録した空き家について協力会員以外の者に媒介等を依頼したときは登録を取り消すと定めています(飯能市空き家バンク実施要綱 第7条)。

申請時に求められる書類は、坂戸市の場合、申請書、登録カード、外観と内部の写真(内部は各部屋1枚ずつ)、所有者等であることが確認できる書類(土地と建物の登記事項証明書等)、身分を証明するものの写しです(坂戸市「空き家バンクへの登録」)。飯能市の場合は、物件登録申込書、物件登録カード、身分を証するものの写し、土地・建物の登記事項証明書(1年以内に交付されたもの。写し可)、間取り等の分かる図面です(飯能市「空き家を売りたい方・貸したい方(所有者)」)。

どんな物件が登録できますか

条件は自治体が要綱で決めています。国土交通省のポイント集も、住宅に限るか店舗や事務所も対象にするかは自治体が検討して定めるものとしています。確認できた例は次のとおりです。

項目飯能市坂戸市
対象個人が居住を目的として建築した市内の建築物で、現に居住していないもの(近く居住しなくなる予定のものを含む)とその敷地。業として賃貸・分譲等を目的としていない、建築物の安全性に問題がない、建築基準法・都市計画法・農地法等に違反していない、登記済みである、宅地建物取引業者に仲介等を依頼していない、などの条件をすべて満たすもの。土地のみの登録は不可市内にある個人所有の住宅で、現に居住していないものか居住しなくなる予定のもの。空き地のみの登録は不可
登録期間登録した日の属する年度の翌年度から2年(例: 令和6年6月1日に登録した場合は令和9年3月31日まで。再登録可)3年間(再登録可)

(飯能市「空き家を売りたい方・貸したい方(所有者)」、飯能市空き家バンク よくいただく質問 A-8・A-11、飯能市空き家バンク実施要綱 第3条、坂戸市 空き家バンクQ&A)

相続した実家で迷いやすい点について、2市のQ&Aには次の記載があります。他の自治体では扱いが違う可能性があるため、必ず登録先の自治体に確認してください。

迷いやすい点飯能市坂戸市
相続登記が済んでいない登録には相続人全員の同意が必要。売買等の契約の際には所有権を整理する必要があるため、速やかに移転登記を登録できる。ただし相続人であることを証明する書類の提出を求めることがある
家財が残っている処分は原則として所有者が行い、建物に残さないようお願いする。ただし利用希望者がそのまま使ってよいものは、双方の協議で決めることも可能原則、賃貸は残置物があると登録できない。売却は登録できるが、売買金額に影響が出る可能性がある
売るか貸すか決めていない両方での登録も可能「売買」「賃貸」「売買と賃貸の両方」のいずれでも登録できる
すでに他の不動産会社に依頼している登録できない。仲介等の契約を解約してからの申込みになる契約内容によっては登録できない

(飯能市空き家バンク よくいただく質問 A-9・A-19・A-25・A-35、坂戸市 空き家バンクQ&A)

最後の点は自治体差が大きいところです。国のポイント集に掲載されている石巻市の要綱例でも、すでに媒介契約を結んでいる物件は登録できないとされています。

費用はかかりますか(登録料・仲介手数料)

なお、当事者同士が直接交渉できるかどうかも自治体によります。物件の登録に宅地建物取引業者との媒介契約を必須としている自治体もあります(国土交通省 Q&A 消費者向け Q5)。

全国版空き家・空き地バンクとはどう違いますか

全国版空き家・空き地バンクは、自治体ごとに分かれている空き家バンクの情報を、自治体を横断して検索できるようにしたサイトです。公募で選ばれた株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社が、平成30年4月から本格運用しています(国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページ)。

たとえば飯能市は、全国版空き家・空き地バンクにも空き家情報を掲載しているとしています(飯能市「空き家物件一覧」)。所有者の立場では、自治体の空き家バンクに登録するときに「全国版にも掲載するか」を確認する、という関係になります。

不動産会社への依頼と空き家バンクは、どう使い分けますか

確認できた公式情報をもとに、判断の順番を整理します。

  1. 実家のある自治体に空き家バンクがあるか確認する。 開設は義務ではないため、ない自治体もあります。
  2. 登録条件に合うか確認する。 対象物件、家財の扱い、利用者の限定(移住者向けかどうか)は自治体で違います。
  3. 仲介の形を確認する。 自治体が協定団体に業者の選定を依頼する方式か、協定団体の業者の中から自分で選ぶ方式か、自分で依頼した不動産会社のまま登録できるかを確認します。すでに不動産会社と媒介契約を結んでいる場合は、契約内容によって登録できないことがあります。
  4. 空き家バンクと結びついた補助制度があるか確認する。 次の節のように、空き家バンク登録物件であることが補助の対象条件や加算の条件になっている制度があります。
比べる点不動産会社に直接依頼空き家バンクに登録
窓口自分で選んだ不動産会社自治体(その後、媒介業者)
情報の公開先依頼先の不動産会社による自治体のホームページ等。同意すれば全国版にも掲載されうる
仲介手数料不動産会社に確認業者が媒介する場合は必要(飯能市・坂戸市の例。飯能市では利用者側は不要)
自治体の関与なし情報の登録と公開。交渉・契約には関与しない(飯能市・坂戸市の例)
補助制度との関係制度によるバンク登録物件であることが条件・加算になる制度がある

国土交通省のポイント集は、空き家は一般的な不動産流通サイトでは買い手が見つからない物件が多く、空き家バンクは地方への移住を目的に低廉な価格の物件を望む人など、異なる需要層に届ける役割があるとしています。また、同じ資料に掲載されている石巻市の要綱例には「この要綱は、空き家バンク以外の空き家等の取引を妨げるものではない」という規定があります。条件は自治体ごとに違うため、自治体の担当課と不動産会社の両方に確認して比べてください。

空き家バンクの登録が関係する補助金はありますか

あります。埼玉県内で確認できた例を2つ挙げます。どちらも、その空き家に自分で住む人が対象です(坂戸市は空き家に居住しようとする所有者、富士見市は購入した空家を改修しようとするかた)。

坂戸市 空き家改修工事等補助金(令和8年度。令和8年9月28日に受付再開)

(坂戸市「坂戸市空き家改修工事等補助金制度のご案内」。坂戸市の補助金一覧)

富士見市 空家移住定住促進補助金(受付期間: 令和8年4月1日から令和8年12月28日まで)

(富士見市「空家に関する補助制度について」。富士見市の補助金一覧)

補助金は年度ごとに内容や受付状況が変わり、予算の都合で受付が終了することもあります。申請の前に、必ず各市の担当課に最新の状況を確認してください。ほかの市の制度は自治体の補助金から探せます。

迷ったときの確認先

この記事は制度の一般的な整理です。ご自身の物件が登録できるか、どの方法が合うかは、上記の窓口で確認してください。

出典